07/14 Artist Showcase, BIRDMAN, Maker Faire Tokyo 2015

この1000本ノックはまるで “アイデアの泉” ! BIRDMANのエースとホープが歩んだ歴史とは? (Artist Showcase Vol. 1 参加アーティスト紹介)

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BIRDMANのテクニカルディレクター・コバヤシタケル(右)と、デベロッパーの久野勇人(左)。

今回訪れた『Artist Showcase』参加アーティストは、斬新なWebサイトデザインと、最新のハードウェアを絡めたイベントなどを手がける気鋭のインタラクティブスタジオ「BIRDMAN」。
このプロジェクトのために選ばれた、BIRDMANが誇る熟練のエースことコバヤシタケルと、若きホープ久野勇人に、彼らのバックストーリーを紐解いてもらった。

Webからドローンまで! 気鋭のインタラクティブスタジオ

 
コバヤシタケル:BIRDMANは設立から今年で10年目です。最初の頃はWebをメインに制作していましたが、ここ最近はデジタルにまつわるものであればほぼすべてを手がけています。例えば、クロックスの新しいスニーカー『norlin(ノーリン)』のプロモーションイベント『空中ストア』では、ドローンが製品を運んでくるという画期的な仕掛けを制作しました。『norlin』の “軽さ” を実感してもらうための企画だったのですが、かなりチャレンジングな企画でしたね。

Edison Lab:一方でWebの領域でも、何かしら動きを取り入れるなど、とても緻密で独創的な作品を制作されていますね。

コバヤシ:そうですね。いわゆる普通のWebサイトとは異なる打ち出しのものが多いかもしれません。それに加えてイベント系でも企画自体から仕掛けを考えたり作ったり、最近ではハードウェア系の仕事も増えてきて……いったい何屋なんですか? と聞かれたら、「うちはインタラクティブスタジオです」と答えるようにしています。

Edison Lab:ハードウェア系の仕事が増えてきたのは、いつ頃からでしょう?

コバヤシ: それまでもWebと会場をハードウェアで連携させる取り組みはありましたが、2013年の春にIntelの『PUSH for Ultrabook』キャンペーンを手がけたのが、大きなきっかけだったと思います。これはウルトラブックを景品にしたコイン落としゲームという設定で、FacebookやTwitterなどからジョインして自分のIDをロボットアームがピックアップして並べていき、そこからうまくウルトラブックが落ちればゲットできるという仕組みでした。じつは、僕はこの仕事に外注スタッフとして参加していて、BIRDMAN代表の築地ROY良から構想を聞いてロボットアームを使うアイデアを提案しました。ちょうどBIRDMANに参加する直前の仕事ですね。

Edison Lab:ということは、昔からハードウェアまわりも詳しかったわけですか?

コバヤシ: そうですね。僕はもともと音楽をやっていて、楽器以外のものとセンサーを組み合わせて演奏したりしていました。音と映像を両方とも生成したりして……2004、5年頃のことですが、それがそのまま、仕事になった感じですね。

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Edison Lab:そういったクリエイティブな表現やものづくりに、子どもの頃から興味があったのでしょうか。

コバヤシ: どちらかというと、ものをカスタムすることがすごく好きでしたね。例えば自転車のハンドルを庭に転がっていた金属の棒で作ってみたり、いろいろなものを分解して、組み立て直してみたりとか……。ギターをノコギリで切ってオリジナルの形にしてみたり(笑)。でも、普通科の高校から電子系の大学に入ったので、講義の内容がぜんぜんわからない。それで、「俺は音楽がやりたいんだ!」って大学を飛び出して、音楽だけでなく自分でミュージックビデオも作りたくなり、映像系もやり始めました。そこで、変化のある映像を作りたいと思い、マウスでクリックしたら映像が走ったり動いたり、音が変化するようなインタラクティブな仕掛けを作るためにプログラミングも覚え初めて……そのご縁でCD-ROM制作の会社に入社しました。そこからフリーになって、BIRDMANへ入社したという流れですね。

これが初仕事! 無限の可能性を放つ期待のホープ

 
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Edison Lab: 一方で、久野さんはBIRDMANに入って、これが最初の仕事だと聞きました。その前から、ハードウェアを使った作品づくりをしていたということでしょうか?

久野勇人: じつは、新卒で入ってからまだ1カ月なので……。もともとはデザイン系の高校で絵を描いたり、木で何かを作ったりしていて、それから美大の情報デザイン系の学科に入ったんですが、Webデザインをやりたくても、プログラミングができないと始まらないということに気付いたんです。それで、プログラミングに興味を持っていろいろ調べ始めて……卒業制作では子ども用の歯ブラシに装着するデバイスを作りました。市販の歯ブラシにマント型のデバイスを付けると、歯ブラシと歯磨きゲームのアプリが連動して、磨いた場所のバイキンを消していく。つまり、子どもが歯磨きを喜んでやるような仕掛けを考えた、ということですね。

コバヤシ: 彼はプログラミングからデザインまで、自分でパッケージ全体をまるまる作ることができるんです。卒業制作の時点で、自分でキャラクターをデザインしてiPhoneのプログラムを作り、歯ブラシ用のデバイスを設計して3Dプリンターで出力して……すごいですよね。

久野: いえいえ……その中でも、いまはプログラミングに興味がありますね。プログラムを使って何かを動かすことで、「できたらいいな」と思うことを叶えてくれるところが素敵だなあと思います。

IoTの “その先” を見据え、アイデアを1000本ノック!

 
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Edison Lab: そんなおふたりは、モノのインターネット化、いわゆるIoT(Internet of Things)がどんどん進んでいく状況について、どう考えているのでしょうか。

コバヤシ: 僕の中では、IoTってそんなに新しくないんですよね。これから盛り上がっていくことは間違いないと思いますが、じつは考え方としては昔から存在していて、単純にセンサーやマイクロプロセッサなどの部材が大きかったから、そこまで進展しなかった。でもいまは、それこそEdisonのような小さくて高性能なものが出てきたおかげで、もっと気軽に誰もが開発できるものになっていくんだと思います。例えば、いまはスマートフォンに機能が集約されていますが、これからはひとつの機能しか持っていないデバイスが生活の隅々に分散して、そこからネットにつながっていく。「今日、何を着ようかな」と思ってクローゼットを開けると、お天気デバイスが付いていて「雨マークだから、これにしよう」とか。それがきっと、IoTの姿になっていくんだと思います。

久野: 今回作るものも、もしかしたらそういうものになるかもしれませんし……いろいろ考えて試してみたいですね。
 

そう語るBIRDMANの若きホープが取り出したのは、分厚いラフスケッチの束だった。そこにはさまざまなアイデアや思考がぎっちりと、そして力強く刻まれていた。驚いてアイデアの数を尋ねたところ、隣にいたエースは微笑みながら答えてくれた。「1000本ノックです」と。

驚きで声も出ない。とはまさにこういうことを言うのだろう。その1000本から何が選ばれたのか? 眼前の熟練のエースと若きホープが作り出そうとしているモノの姿を、早く見たくてたまらなくなった。

5月15日、BIRDMANにて
Vol.2へ続く)
 

■Artist data

BIRDMAN
最先端のデジタルプロモーションを手がける精鋭チーム。Webはもちろん、インタラクティブなインスタレーションや制作物、リアルイベントなどの制作に関わっている。ソフトでもハードウェアでも今まで誰も体験したことが無いようなモノを作ることに常にチャレンジしている。Cannes Lionsシルバー, OneShowゴールド、広告電通賞デジタル部門グランプリ2回、Code Awardグランプリ、ADFESTゴールド, Spikes Asiaシルバーなど国内外にて120以上のアワードを受賞。
http://www.birdman.ne.jp