09/20 Joule, Maker, News, イベント

Intel Joule 高性能モジュール。コンピュータビジョン機能も搭載

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IoT ハードウェアは、デスクトップ・コンピュータに追いつく勢いの驚くべき成長を遂げている。IDF16初日に行われた基調講演で発表された新型コンピュータボード「Joule(ジュール)」の発表で、その性能に驚いたメイカーも少なくはないだろう。今回は、この Joule の詳細をお伝えしたい。

これまでインテル社が開発者向けに提供してきた小型モジュール「Galileo」や「Edison」、「Curie」同様、「Joule」もまた、歴史的な発明家の名前に由来していると考えられている。その発明家とは、ジュールの法則を発見し、熱量の単位(ジュール)となったイギリス人物理学者ジェームス・プレスコット・ジュールだ。

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Joule の最大の特徴は、搭載された高性能SoC「Atom T5700/T5500」だろう 。Joule には、新たにIntel の4コア(クアッドコア)プロセッサが内蔵されている。サイズは、25セント硬貨2枚分ほどの小ささであるものの、その処理能力には目をみはるものがある。無線LAN(IEEE 802.11ac対応)とBluetoothを搭載し、USB 3.0にも対応しているほか、CSI/DSI、GPIO、I2Cといったインターフェイスも備わっている。また、底面には100ピンのコネクタも装備している。

■ Joule 570X/550Xの仕様

Joule 570X
プロセッサ:Atom T5700 (1.7GHz)
メモリ:4GB LPDDR4、16GB eMMC
GPU:Intel HD Graphics(4K対応)
無線機能:IEEE 802.11ac(Wi-Fi)及びBluetooth 4.1
インターフェイス:USB 3.0、CSI/DSI、GPIO、I2C、UART
利用可能OS:Yocto Linux OS for IoT、Linux 4.4 kernel、Windows 1- IoT Core他
サイズ:48×24×5mm(幅×奥行き×高さ)

Joule 550X
プロセッサ:Atom T5500 (1.5GHz)
メモリ:3GB LPDDR4、8GB eMMC
GPU:Intel HD Graphics(4K対応)
無線機能:IEEE 802.11ac(Wi-Fi)及びBluetooth 4.1
インターフェイス:USB 3.0、CSI/DSI、GPIO、I2C、UART
利用可能OS:Yocto Linux OS for IoT、Linux 4.4 kernel、Windows 1- IoT Core他
サイズ:48×24×5mm(幅×奥行き×高さ)

■ Jouleを活用したスマートグラス

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Intel Joule の実用化例の一つとして、インテル社はIDFで、スマートグラス(メガネ)を披露した。これは、フランスを拠点とする PivotHeadによって開発された保護メガネで、深度を計測できるRealSenseカメラも搭載されている。工場等での作業用に作られたこの保護メガネは、カメラのモニタリングによってメガネを使用する労働者に対し、工場の作業ライン上で問題があれば、警告できる仕組みになっている。これもコンピュータビジョン機能を内蔵した多機能な Joule だからこそ、なせる技だ。

従来の「Edison」が個人メイカーにも提供されていたのに対し、Joule は工業分野等、新たな業務用のデバイスとして利用されることを目的としている。Wi-Fi通信や4K動画にも対応するなど、高い性能を備えたJouleの今後の活用方法に注目したい。

SOURCE: Intel Newsroom, Intel IQ

09/05 Maker, News, イベント

IDF16 基調講演。インテル、Edison の後継製品「Joule」を発表

Intel CEO Brian Krzanich displays a Joule maker board at the 2016 Intel Developer Forum in San Francisco on Tuesday, Aug. 16, 2016, during his opening keynote presentation. His presentation offered perspective on the unique role Intel will play as the boundaries of computing continue to expand. (Credit: Intel Corporation)

米インテル社は、8月16日〜18日、サンフランシスコで開発者向けのイベント IDF16(Intel Developer Forum 2016)を開催した。初日の16日に行われた同社 CEOブライアン・クルザニッチ氏による基調講演の内容をお伝えする。

講演でクルザニッチ氏は、主に4つのテーマについて語った。「コンピューティング経験の再定義(Redefining The Experience of Computing)」、「視覚的知性の世界の構築 (Building a world of visual Intelligence)」、「イノベーションのためにデザインされたクラウド(A Cloud designed for innovation)」、「次世代のイノベーターに力を与える(Empowering the next generation of innovators)」だ。


IDF16 基調講演ハイライト

■RealSense搭載のHMDやドローン、BMWとの提携

まず、満を持して発表されたプロジェクトが「Project Alloy」。これは、同社のRealSense(3D深度センサー技術)を搭載したヘッドマウントディスプレイ(以下、HDM)だ。HDMは、バーチャルリアリティ(VR)で使用されることは一般的になってきたが、今回、インテルが紹介したのはMRと言われる「マージドリアリティ(Merged Reality)」。つまり、現実世界であるカメラの外界の映像と作られたコンピュータからの映像を融合(マージ)している。

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このHDMは、内蔵するRealSenseカメラから取り込んだ現実画像をコンピュータが認識できるのが特徴だ。また、RealSense の働きによって、周囲の物体を認識し、その距離情報も得られるため、コンピュータ画像と現実画像を組み合わせてHDMに表示できる。Alloyは、オープンプラットフォームとして提供される予定なので、今後、既存のVRコンテンツやアプリも使えるようになる予定だという。

Intel CEO Brian Krzanich displays the Aero Ready To Fly drone --

HDM以外にもRealSense技術を使った製品が紹介された。今年春に中国で開催されたIDFでお目見えしたAero Platform for UAVs搭載のドローンの発売も公開された。

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また、インテルは自動車産業への進出にも積極的な姿勢を見せた。今年7月より、すでにBMWと自動運転分野での提携を行っている。自動運転が今後より広く普及する中で、自動車産業内でインテルがどれだけ影響力を持てるのか興味深い。

■次世代メイカー向けモジュール「Joule(ジュール)」

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インテルは、これまでにもGalileo、Edisonといった組み込み用のボードキットを開発し、次世代を担うメイカーを支援してきた。そして今回の基調講演では、RealSense搭載のモジュール「Joule(ジュール)」が発表された。 Jouleは、RealSenseカメラを搭載し、既存品よりさらに処理性能が向上したモジュールだ。

25セント硬貨2枚程度の大きさのJouleは、IoT開発用に作られており、コンピュータ・ビジョン、産業IoT、VR、AR、マイクロサーバ、その他の高性能のコンピュータ機能を必要とするアプリケーションに適しているという。Jouleには、500Xと570X の2つのモデルがあり、それぞれ高性能SoC、Atom T5700、T5500プロセッサを搭載している。日本、多くのヨーロッパ諸国では、Jouleの開発キットが第4四半期から販売開始される予定で、米国では、150ドル〜200ドル(約1万5千円〜2万円)ほどで発売される。基調講演では、MicrosoftやGEがJouleを使ったデモを披露した。

Jouleの詳細に関しては、また次回の記事でご紹介したい。

IDF16の基調講演は、全体的にIoTに重点を置かれていたように思える。今後のインテルの方向性が垣間見えるような内容だった。

SOURCE: Intel Newsroom

08/22 Maker, News, イベント

Edison を使ったインスタレーション ー 光と音の祭典ビビッド・シドニー

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2016年6月オーストラリア、シドニーで23日間にわたる光、音とテクノロジーの祭典「ビビッド・シドニー」が開催された。

ビビッド・シドニー

ビビッド・シドニーは、世界最大の光と音楽、アイデアの祭典で、インテルとシドニー・オペラハウスによる最新テクノロジーを駆使したコラボレーションイベントだ。2015年には約170万人が訪れた。

「ビビッド・シドニーは、アートを壁から取り外して、街に置いたようなイベントだ」と語ったのは、イベントのクリエイティブ・ディレクター、イグナティウス・ジョーンズ(Ignatius Jones)だ。このイベントに向けて、アーティストたちは新しいテクノロジーを開発し、彼らのビジョンを現実のものとしている。

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イベント恒例、シドニー・オペラハウスを音楽に合わせてプロジェクションマッピングで彩る「Lighting of the Sails」はもちろんのこと、今年話題となった「Drone 100」のパフォーマンスやリサイクル・プラスチックを使って3Dで製作されたインスタレーション「Sound Cell」など、今年も創造性に富んだ作品の数々が披露されていた。

ツリー・ハガー

今回のビビッド・シドニーでは Edison を使った作品もお目見えした。ツリー・ハガー (Tree Hugger)は、今回のイベント最年少となる17歳のアーティスト、キアラン・フレーム(Ciaran Frame)による作品だ。ツリー・ハガーはその名の通り、木(ツリー)を抱きしめる(ハグ)することによって反応するインスタレーションだ。ハグがトリガーとなり、LEDが点灯する。まるで木が実際に応えてくれているような気分を味わえるのだ。

このオーディオビジュアル・ディスプレイは、それぞれのハグによって異なった反応をする。例えば、ちょっとしたハグならLEDはゆっくりと点灯し、流水音がながれるが、全身を使った心を込めたハグであれば、照明がチカチカと点滅し、速まる鼓動が聞こえてくる。

このインスタレーションには、さまざまなソフトウェアやハードウェアが使われているが、Edison もその一つだ。Edison によって、すべてのLEDライトが個々にコントロールされ、異なったパターンが作り出されている。そして、インスタレーションが展示されている間、毎回、異なったライティングや音が楽しめるようになっている。

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その他、主なインスタレーションは、こちらからご覧いただける。ぜひのぞいてみてはいかがだろうか。

SOURCE: ビビッド・シドニー 公式サイトIntel IQ

08/08 Maker, News

てんかん発作を検知するスマートグローブを母親が開発

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インドのバンガロールに、息子がてんかん*で苦しむ様子を目の当たりにし、デジタルセンサー技術を用いて発作を検知する機器を発明した母親が居る。

ラージ・ボースアッカー(Raji Borthakur)の願いはただ一つ、てんかんを持つ息子の発作を少しでも早く検知し、急に意識を失う状態になる前に気づいてあげることだ。

彼女の息子、テジャスは5歳。愛情を込めて「ティージェイ(TJay)」と呼ばれている。彼は寝返りを平均より遅い生後9ヶ月で始め、生後2歳でやっと歩き始めた。ティージェイが正式にてんかんと診断された頃には、すでに発作が彼の成長を妨げていたのだ。

「多くの怒りを感じている。これだけ医師が居て、なぜ私の息子はこんな状態なのか。診断が少しでも早ければ、彼はもう少し良い状態だったかもしれないのに」とラージは語った。

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これまでエンジニアリングにおいて一切の経験が無かった彼女だが、てんかん発作が発症する前に予測できる「スマートグローブ」のアイデアを思いついた。グローブはまだ試作品の段階だが、ラージはすでに他の何百という新進発明家の先を行っている。というのも、彼女はインドで行われた発明家やメイカー向けの全国的なコンテスト「Innovate for Digital India Challenge」において決勝まで進んだからだ。

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息子の名前から「TJay」と名付られたグローブは、小さな Intel Edison と10個のセンサーを使用。この技術によって体温、心拍数、血圧等を計測し、医師がてんかん患者の症状についてより包括的に理解するのに大いに役立っている。

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以前は、医師がてんかんを診断するのには脳波検査(EEG)に頼っていた。EEGテストは脳内の電気インパルスを測定することで異常を検知する。しかし、この世界中で標準的に行われているアプローチには限界があると、ラージは語った。

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問題は、EEGテストに患者が臨む時には、彼らは普通の状態かもしれないということだ。そのため病院のインフラ状況に応じて検査に数時間から数日かかる。また、これが、医師が的確にてんかんを診断するにおいて妨げになっているという。

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「私には単純なことに見えた。体内の電気信号や異なった信号であれば、それをとらえる技術はすでにある。なぜ、まだ誰もしていないのか?していないということは、不可能なのか?」と彼女は言った。

TJay スマートグローブは、ただ単に脳波を計測するだけではない。身体から10の要素を計測、集約し、各てんかん患者特有の生理的パターンをマッピングできる。

グローブを装着すれば、リアルタイムに状態を計測でき、総合的なデータから、次の発作が起こる可能性を示すことができる。

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これを機に彼女は自身の会社、TerraBlue XT を立ち上げ、TJay スマートグローブの実用化を目指している。

彼女は、てんかんのみならず、パーキンソン病、総合失調症、双極性障害といった、その他の神経系の障害においてもスマートグローブの機能を役立てたいと考えている。

ラージは、彼女自身が発明家であると感じているか、という質問に対して以下のように答えた。
「私は発明家ではなくて、ただのメイカー。起業家になるつもりも無かった。ただ、答えを探していただけ。」

彼女は明らかに答えを探し当てたようだった。

*Note: てんかん(癲癇、英:Epilepsy)は、 突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気だが、その原因や症状は人により様々だ。年齢に関係なく発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつ。「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じる。症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復する。

SOURCE: Intel IQ

07/25 IoT, Maker, News

IoT初心者必見!開発に役立つ18のサンプルコード

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Edison を使って IoT に触れてみようと思いつつも、コーディングの部分でつまずいている人もいるのではないだろうか?そんな時にぜひ参考にしていただきたいのが、今回ご紹介する 18のサンプルコードだ。

18のコードの中には、目覚まし時計など日常で使えるものから、地震検知、火災アラームなど非常時にも役立つものもある。中にはロボットアームなど、遊びで楽しめるものもあり、サンプルの中から試してみたいものが、きっと見つかるはず。

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接近検知アラーム

この18のコードを使ってみることで、開発者は主に以下の事項を学べるという。

・Intel Edison と、試作品用にデザインされたコンピュータプラットフォームを接続することで、IoTやウェアラブル製品を作成。
・革新的なプロジェクトにIoTを組み込みたい開発者に役立つ、Intel Edison プラットフォーム IO、Groveセンサー、Xadow* ウェアラブルセンサー、Intel IoT Developer Kit のMRAAやUPMを使ったセンサーリポジトリとハードウェアとソフトウェア・ソリューションのインターフェース連結。
・センサーとアクチュエータと相互作用するアプリケーションを作成する IDE、 Intel® XDK IoT Edition でコードサンプルを作動させる。
・Microsoft Azure のAzure Redis Cache*、IoTソリューション(データ分析、機械学習、センサーとクラウドの接続をシンプルかつ効率よくしてくれるツールの数々を含む)の接続用のクラウド・サービスを使ったウェブアプリケーションのサーバとストアデータのセットアップ。

Note: Intel® XDK IoT Edition とは、IoT開発専用のソフトウェアで、Intel® XDK IoT Editionで書いたコードをそのまま Edison に移行できる。



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Intel® XDK IoT Edition

実際のサンプルコードはこちら:
(注:手順等は、数カ国に訳されているが、日本語はまだない)

ドアの防犯センサー(Access control
空気質センサー(Air quality sensor
目覚まし時計(Alarm clock
BLEスキャン・ブレスレット(BLE scan bracelet
接近検知アラーム(Close call reporter
ドアベル(Doorbell
地震検知(Earthquake detector
機器アクティビティモニター(Equipment activity monitor
フィールドデータ・レポーター(Field data reporter
火災アラーム(Fire alarm
家崩壊トラッカー(Home fall tracker
線を追うロボット(Line following robot
植物照明システム(Plant lighting system
距離スキャナー(Range finder scanner
ロボットアーム(Robot arm
スマート・コンロ温度管理(Smart stove top
収納家具湿度検知(Storage unit flood detector
散水システム(Watering system

また本サイトの Make It with Edison のコーナーでも Edison を使ったさまざまな開発方法を段階ごとにご紹介しているので、こちらもぜひ目を通してみて欲しい。

さあ、Edison を手にして試してみよう!

SOURCE: Intel Developer Zone

07/11 ADHD, ウェアラブル, ファッション

子どもを救う、ユニコーンの角型ウェアラブル・ヘッドセット

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テクノロジーはさらにオシャレで、さらに人々の役に立てる!? 今回は、次々と新しいテクノロジーの活用方法を見出す一人のテック・ファッションデザイナーをご紹介。

アヌーク・ウィプレチェット氏は、Ars Electronica の研究者チームと共に遊び心に満ちたバイオセンシング・ユニコーン型のウェアラブル・ヘッドセットを製作。彼女の新たなプロジェクトの対象は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断された子どもだ。身につけた子どもの興味ある物を発見できるヘッドセットだという。ウィプレチェット氏は、これまでにもスパイダードレスなど、ファンタジー映画さながらのテクノロジーとファッションを融合したデザインを手がけてきた。

ウィプレチェット氏は、自身が参加した Maker Faireでも、世界中を回り、Audiやインテルといった会社の開発者たちとタッグを組んできた。彼女の創作は、光ったり、動いたり、また装着者が操作しなくとも録画をするなど、ユニークで幅広い。Arduino、Intel Curie や Edison のコンピュータ・モジュールやセンサーを活用することで、人のバイオメトリックなデータを、物質を通して表現してきた。

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そんな彼女の最新の作品がユニコーンの角を模ったヘッドセットだ。ヘッドセットには、 Edison に接続された感覚神経テクノロジーが使われており、搭載されている小さなビデオカメラで装着者にとって印象的な瞬間を捕らえる仕組みになっている。

装着者の興味の焦点がある程度の数値に達した際には、脳のセンサーから、内蔵されているコンピューターシステムにカメラを作動するよう信号が送られる。そして、装着者の注目点を捕らえる。ビデオはBluetooth LEを介してインターネット上にアップロードされ、後からスクリーンでその光景を見ることができる。

「『頭についている物』が自分より周囲の状況を把握していて、自分の世界を客観的に見られるテクノロジー」とウィプレチェット氏は説明する。

このユニコーン・ヘッドセットは年齢を問わず好奇心旺盛な人向けだが、特にADHDと診断された子ども向けに作られている。ウィプレチェット氏の「2015-2016 Ars Electronica SPARKS H2020」の作品の一つとして製作された。これにより、ウィプレチェット氏は幅広い研究所や新しいテクノロジー、専門家からの援助を受け、ADHDのセラピーや研究を前進させる試作品を完成させた。

「普段、ADHDの子どもとこれで一緒に遊んで、いつ彼らが集中しているのか、何がそれを引き起こすのか知ってもらう。邪魔することなく彼らの行動を数値化し、彼らの世界をより把握するための方法」と彼女は言う。

このヘッドギアを試すのは大抵、ハイテクに精通した子どもで、彼らの認識の中で何が脳波に「スパイク」を起こさせるのか興味がある子だとウィプレチェット氏は言う。彼らは、スパイクがどう見えるのか知りたいのだ。

「彼らの脳がどのような働きをしているのか理解してもらえる」と彼女は語った。

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脳波を検出するウェアラブル技術

彼女が最初に脳波の分野に触れたのは、2014年のことだ。その際、インテル社のイノベーション・エンジニアで、ワイヤレスのバイオシグナルにおけるコンピュータに興味を持つ、カロリナ・チャンジア氏とのコラボレーションでシナプスドレスを制作した。そのドレスはスタイリッシュなヘッドバンドに内蔵したセンサーから、脳波からの信号を受け取るものだった。ウィプレチェット氏は、即座にそして正確に人の認識が高まった時に反応するプログラムを組んだ。装着者が興奮したり、恐怖を感じたりすれば、ドレスに組み込まれたカメラが、その光景を録画するのだ。

「コラボレーションを通して、脳内の電子活動(脳波図)について、またそれをどう正確に測定するのか、多くを学んだ」とウィプレチェット氏。

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ユニコーンの角型ヘッドセットを製作するにあたり、Ars Electronic Future Labの代表クリストファー・リンディンガーは最新のEEGシステムをオーストリアの会社 G.Tec から得た。彼らのg.Sahara 電極は金の合金の使うことで、電極接地面の抵抗を抑えている。普段、体からセンサーへ信号を得るために使用するジェルも不要になった。医療用のジェルが髪の毛に絡むのはファッショナブルではないが、8つのピンが付いた電極であれば、髪の上からも装着できる。このシステムがカメラに録画を促し、目として機能してくれるのだ。

ユニコーンは目から代理人へ

装着者の意識が上がれば、脳センサーのトリガーとなり、ヘッドセットのLEDが点灯する。ライトが点灯したら録画していると認識できるのだ。

システムは8秒のビデオを録画する。トリガーの3秒前と、5秒後だ。8秒のビデオは Edison を通してワイヤレスで近くのコンピュータまたはデバイスに送られる。そこで、後からの参照用に日付と時間が記録される。

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またウィプレチェット氏は、小型ながらもワイヤレスPCと同様の機能を持つインテル® Compute Stick に接続されたIntel RealSense深度カメラを使って、ユニコーンの角の第2試作品も開発した。

「手の動きの軌跡や、顔認証、感情検知も開発していきたい」

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この2作目は、コンピュータ・ビジョンと機械学習を融合し、装着者の意図を読むべく瞬間を撮影する。

「ADHDや自閉症の人は、他人の感情を読むのが苦手なことがあり、それが彼らにストレスを与えている。このシステムによって他人との会話をモニター、算出し、問うことができる。つまり、ヘッドセットは、学習システムもしくは装着者の代理人としての役割を担ってくれる」と彼女は語る。

テクノロジーの新しい見方

ウィプレチェット氏は、コンピュータ・テクノロジーが質を向上させながらも小型化されていること、センサーの種類が身近なデザインやファブリックにも進出していることにインスピレーションを受けているという。この傾向は彼女たちのテクノロジーに対する見方も変化させると感じている。

「テクノロジーが身近になるにつれ、テクノロジーに対する私たちの見方も改める必要がある」とウィプレチェット氏。

テクノロジーは、道具としてではなく伝達手段として考える必要があるという。

「テクノロジーは私たちの生活をよりよくするための物なのに、ストレスの原因になることも多い。ユニコーンの角は、テクノロジーを体にまとうことで自身の世界をよりよく知るガイドとなる一例に過ぎない」とウィプレチェット氏は語った。

SOURCE: Intel IQ

06/27 IoT, インテル® Edison キット For Arduino

LINEがIoTのリモコンに!? Edison とLINEビジネスコネクトを活用したソフトウェア

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昨年10月に LINEとインテル社が連携を発表し、IoTでLINEビジネスコネクトが活用されるようになるというニュースがまだ記憶に新しい。この2社の提携により、ソフトウェア開発者向けのサポート体制の向上、IoTソリューション対応の加速化が期待されている。

2012年に開始した従来のLINE公式アカウントは、登録した全てのユーザーに、同一メッセージを一斉送信するなど、広範囲・単一方向のコミュニケーションに特化したサービスだったのに対し、LINE ビジネスコネクトは、APIの利用と外部データとの接続によって、1対1や双方向のコミュニケーションを可能にしている。これを活用した、ホームオートメーションやデジタルサイネージ などの開発が同2社の協働によって、進められている。

この技術がすでに使われている製品といえば、昨年キリンが投入したインテリジェント・自動販売機だ。自動販売機は、46型の液晶ディスプレイとLTEの通信機能、カメラを搭載している。飲み物を購入すると、撮影機能が立ち上がり、フレーム付き写真がその場で撮れ、キリンのLINE公式アカウントと「友だち」になっていれば、写真がLINEで自分の携帯に送られてくる仕組みだ。

そんな中、モビルス株式会社が、新たに Edison とLINEビジネスコネクトを活用したソフトウェアを発表。このソフトウェアを使うことで、LINEから Edison を操作したり、Edison を通して得た情報をLINEに表示させたり、といったことが可能になる。

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資料:モルビス株式会社サイトより

仕組みとしては、インテル® Edison キット For ArduinoとGrove Base Shieldに温度・照度センサー・LED・マイクなどを装着し、そこにLINE ビジネスコネクトとモビルス社のチャットコミュニケーションSDK「モビコアTM」* をつなぐことで、EdisonとLINEの連携機能を実現している。

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LINE上にテキストした質問に対する答えを Edison を介したセンサーから得られるのはもちろんのこと、LINEスタンプを使って1回の動作で操作ができるのも面白い。LINEがまさに「IoTのリモコン」としての役割を担っているとも言えるだろう。接続するセンサーによって高い汎用性が期待される技術だが、今後、主にどのような場面で実際に活用されるのか、楽しみだ。

*Note: モビコアTM
数万人の同時接続に耐える安定性とセキュリティ性を兼ね備えたチャットコミュニケーションSDK

SOURCE: モルビス株式会社, MONOist

06/13 Maker, Product, アイデア

12歳の少年がレゴを使って点字プリンターを開発

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アメリカ屈指のITタウン、シリコンバレーにおいて起業家になるのに若すぎるということはない。スバム・バネルジーもその1人だ。カリフォルニアに住む彼は、12歳で点字プリンターを開発し、13歳で会社 Braigo Labs を設立した。すべての始まりは、スバムが通っていた学校のサイエンスフェアーでの出し物だった。

当時12歳だったスバムは、目の見えない人々への寄付を呼びかけるパンフレットに興味を惹かれた。目の見えない人々がどうやって字を読むのか両親に尋ねたところ、「Google で調べなさい」と言われたという。

「Google で『目の見えない人々の文字の読み方』を検索したら、点字や点字プリンターがヒットした」とスバム。

また彼は、その点字プリンターが 2,000 ドル (約 23 万円) もすることに衝撃を受けた。とても一般の人や貧しい人の手に届く価格ではなかったからだ。点字プリンターが高額であることから、文章を読む機会を奪われている人々がいることを知った彼は、レゴ マインドストームEV3を使い、廉価版点字プリンターを製作。

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スバムは点字に必要なくぼみを付けられるよう改善を繰り返した。レゴの車やメカニズムを改造し続けること約7回、ついに点字プリンター が誕生した。自分では本当に成功したのか確信が持てず、母親を呼んだ。真夜中の午前2時のことだった。たたき起こされた母親は怒ったものの、完成した点字プリンターを見て、とても嬉しそうだったという。

出来上がったプリンターは、英語の点字を意味する(Braille)とレゴを合わせて、Braigo(ブライゴ)と名付けられた。制作費の350 ドル (約 4 万円) と、夏休みを費やして Braigo を製作した彼は、この機械にはさらに賢い頭脳が必要だと考えるようになる。そこで、インテル® Edisonモジュールと Python を導入し、2作品目 を製作。Edison は比較的リーズナブルな値段で、無線も内臓している。これは、コンピュータと簡単かつダイレクトに接続できるプリンターを目指すには、とても重要だった。

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パーツの組み立てが完成した後、実際にスバムが作った2台のプリンターを子どもに試してもらう機会を得た。「こんにちは、ぼくの名前はスバム」という文字が読まれた時が、彼のそれまでの努力が本当の意味で報われた瞬間だった。そして、この体験を元に彼の開発もさらに勢いを増した。

点字が出力されるのを見て、スバムは Braigo Labsの設立を決意したという。誰でも入手可能なデスクトップ用の点字プリンターとして、目の不自由な人に最も使われる点字プリンターを目指す Braigo Lab のプリンター。その想いが実現すれば、手紙から家の中の物に貼るラベル、買い物リストまで、日常の至る場面で活躍すると期待されている。

以前、Edison Labでもご紹介した「15歳の少年が開発!食材によって加熱具合を変化させる『スマート電子レンジ』」もしかり、10代の発想力が、手に届くテクノロジーによって支えられてきている。もちろん、彼らの熱意と努力は不可欠ではあるが、時代と共に思い描いたことが実現するスピードが速くなっているのも事実だ。今後の若い世代による開発に大いに期待したい。

SOURCE: Intel IQ, Braigo Labs

05/30 News, ウェアラブル, ファッション

ドレスから蝶が舞う!? ファッションとテクノロジーの融合

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ウェアラブル・テクノロジーの勢いは止まらない。Edison Lab でもこれまで、Edison を使ったスパイダー・ドレスや、Curie を使ったバイオミミクリー・ドレスなど「ウェアラブル×ファッション」アイテムをいくつかご紹介してきた。テクノロジーによって、ファッションはさらに変化のスピードを上げている。

トルコ出身の姉妹デザイナー、エツラ・セティン氏とチューバ・セティン氏もテクノロジーを駆使した「インテリジェント・ドレス」を創作。「Ezra + Tuba」(エツラ+チューバ)という自身のブランドも手がける彼女たちは、今回、インテル社とコラボレーションし、約40匹もの蝶を飛ばすという画期的なスマート・ドレスをデザインした。

イスタンブールのスタジオで誕生したこのドレスには、羽毛と何十匹もの布製の蝶が装飾されている。接着させるのが困難な羽毛を丁寧に取り付けながら、飛翔に備えて、蝶の羽を慎重に整えるのも大事な作業の一つだ。

ドレスには近接センサー(触らずとも対象物が近づくとオン・オフを切り替えるデバイス)が組み込まれており、蝶が外部からの刺激に反応するようになっている。最初はゆっくりと、その後は人が接近するごとに、蝶はぱたぱたと羽ばたき出す。最終的には、人が近付くか、モバイルデバイスからワイヤレス・ネットワーク上でドレスと通信すると、蝶が一斉に飛び立つ仕組みだ。

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エンジニアのカグリ・タンリーオーバー氏

インテルのヨーロッパ・イスタンブールのオフィスでソフトウェア開発を務めるエンジニアのカグリ・タンリーオーバー氏は、姉妹とともに新しいデザインにテクノロジーを統合すべく取り組んできた。

ドレスには、インテル® Edison モジュールが搭載されている。コンパクトな Edison の応用範囲は無限だ。Edison は、ワイヤレスでありながら、ユーザが定義したタスクを実行するようプログラムが可能。さらに、サーバーやセンサーなどに接続できる入出力ポートも備えている。Edison は、肩パッドの下に備え付けられ、外からは一切見えない。着用者が動くと信号が発せられ、蝶が羽ばたき始める。光沢のあるドレスにトロピカルな情景を感じさせる色の蝶が動く姿は、なんとも幻想的だ。

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デザイナーのチューバ氏(左)とエツラ氏(右)

「ファブリックやデザイン、色や動き、美しさで遊ぶのが好きなのですが、ファッションの未来は変化しようとしています。そこにテクノロジーは欠かせません」と、チューバ氏。

「ウェアラブル・テクノロジーを一部だけでなく、コレクション全体で活用する世界初の高級デザイナーブランドにしようと考えています」と語るのは、エツラ氏。

トルコは、ヨーロッパと中東の中核地域でもあることから、多くの文明が過ぎ去っていったが、逆にそれゆえに残された遺産、文化、伝統、芸術、工芸はバラエティに富む。今回、トルコのイスタンブールから発信されたファッションとテクノロジーの融合は、今後の「テクノロジー X ファッション」のさらなる可能性を見せてくれるものだった。

SOURCE: Intel IQブランド公式サイト

05/16 IoT, クラウド

Edison を使ったホーム・オートメーション&監視システム

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日々の外出時や、旅行などで数日家を空ける際、留守中に家を監視してくれるシステムがあれば心強いのに…。そんな想いを自力で叶えたのが、米ミネソタ州に住む学生、タイラー(Tyler Spadgenske)だ。

彼は、自作したホーム・オートメーションおよび監視システムをED-E(エディ)
と名付けた。名前の由来は、システムの2つのメイン要素である Edison(ED)と ESP8266モジュール (E)から来ている。

■ED-Eの仕組み

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ED-Eは、インテル® Edison Breakout ボードキットとESP8266を使用した3D印刷可能なホーム・オートメーションおよび監視システムだ。システムは、ベースユニット、センサーユニット、アクチュエーターユニットの3部分から構成されている。ベースユニットには、Edison とSeeed Studioによる6つのGroveセンサーが内蔵されている。Edison がMySQOLデータベース内のセンサーからのデータを記録し、インテル IoT Analyticsクラウドにそのデータを送信している。センサーのいずれかが異常な活動を検出すると、ブザーが鳴り、ユーザーには危険を知らせるためにメールが送信される仕組みだ。

ESP8266センサーユニットには、ESP8266 、センサー、検出回路とリチウムイオンから成り立っている。検出回路がトリガーとなり、ESP8266から分析のため、ベースにデータを送信する。

ESP8266アクチュエーターユニットは順に、クラウドからデータを受信しているベースユニットからのデータを皿に受信している。これによりユーザーは、ネットがつながる場所であれば、どこからでもデバイスを制御することが可能だ。

■ED-Eの働き

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上から音センサー、災センサー、空気質センサー

ED-Eの最初の仕事は、非常事態に備え、家を監視することだ。センサーは小さいながらも、炎、音、ガス、空気の質、温度、湿度を検出できる。これにより、家の中で起こり得る(例えば、泥棒の侵入から水道管の漏れまで)ほぼ全ての非常事態に対応できる。ED-Eは、これらのデータのすべてをインテル IoT Analyticsクラウドにアップロードしている。

ED-Eは、リモートセンサーによって、ドアなど、家の中の物の状態を感知することもできる。例えば、ドア監視は ESP8266とリチウムイオン電池とプラスチックケースに入ったモメンタリースイッチでできている。この電池がどれだけ持つかは、わからないが、例のIoT Analytic クラウドが、電池量が低ければ、知らせてくれるだろう。

最後に、ED-Eは、スイッチとなって家の中の物をオン・オフに切り替えるように設定できるのも特徴だ。このためには、例えば、ランプのケーブルなど、電源を操作したい物のケーブルを細工する必要がある。

これまでは、ホームセキュリティのサービスに加入するなど、大掛かりなシステムの設置や面倒な手続きが必要だったことが、どこでも手に入れられるようなセンサーを使うことで、あらゆる非常事態に対応ができるようになった。

作り方は Hackaday でも紹介されているので、興味があれば、一度見てみてはいかがだろうか。

SOURCE: Hackaday